02】妊娠初期: ₁₃₎胎児に染色体異常あるか無いかの検査。

妊娠初期で、胎児に染色体異常あるか無いかの各種検査。

胎児の頸部浮腫検査
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まず胎児の頸部浮腫検査をします。
妊娠11~13週の時に超音波で頸部浮腫(胎児の後頸部に浮腫)があるかどうかを調べます。

  

3.5㎜以上頸部浮腫があると、ダウン症等の染色体異常や内蔵奇形(特に心臓奇形)がある可能性(5~10%以上)があります。
頸部浮腫が無ければ70%の確率で染色体異常は無いといえます。(非確定検査)

超音波で行う検査なので費用はそれほど掛かりません。妊婦健診の一部として全妊婦様に検査します。

胎児に頸部浮腫がある場合は、次は下記(A.クアトロ検査、B.NIPT検査、C.胎児超音波検査(胎児奇形の有無を詳細にCheck)、D.羊水染色体検査)の検査に進みます。

 

次の検査

A~Dの検査をする対象となる方(注意:たとえA~Dの検査の対象の方であって、A~Dの検査を希望されない方もおります。ご希望をお聞きします。)
胎児に上記の頸部浮腫がある方。
以前に染色体異常の児を出産したことがある方。
染色体異常の家系の方。
高齢妊娠(特に40歳以上)の方。

 

A.クアトロ検査:
妊娠15~17週に、腕から採血をして検査します。結果は2週間後にわかります。
当院で行います。費用20000円。
胎児に染色体異常(主にダウン症の有無)があるかどうかを検出する力は、胎児の頸部浮腫検査と同等です。
検査結果が正常なら99.9%の確率でダウン症(21トリソミー)はないといえるので安心できます。
たとえ検査結果が「異常(正常とは言い切れない)」の場合でも、羊水染色体検査で精密検査(確定診断)すると、実際に異常があるのは2%程度です。クアトロ検査は(非確定検査です。
検査結果が「異常(正常とは言い切れない)」の場合は、羊水染色体検査することを考えます。

 

B.NIPT検査:
妊娠15~18週に、腕から採血して検査します。検査結果が正常なら99.9%
の確率でダウン症(21トリソミー)はないので安心できます。
たとえ検査結果が「異常(正常とは言い切れない)」の場合でも、実際に児に異常が有るのは5%程度です。
40歳以上とか高齢妊娠の方の方が、より正確な検査結果が出ます。若い方が調べると検査結果がやや不正確です。大学病院で行います。費用15万円位。NIPT(非確定検査)です。
検査結果が異常の場合は、羊水検査をすることを考えます。

 

C.妊娠11~20週頃迄に、超音波で胎児奇形の有無を詳細にCheck:

胎児奇形がある場合、染色体異常を伴っていることがあります。
染色体異常がある場合、胎児奇形を伴っていることがあります。
その為、超音波で胎児奇形の有無を細かくCheckすることは、胎児染色体異常を見つける手掛かりになります。(非確定検査です。
通常の妊婦健診中にも行います。

胎児の向きの関係で、1回の超音波では胎児のすべてを隅々まで診ることはできません。妊婦健診通院中に繰り返し診察すると殆ど隅々までCheckできます。
妊娠週数があまり早いと、胎児があまり小さい時期だと、超音波検査はわかりにくいです。心臓内部構造の詳細等は妊娠15~20週位にCheckします。
 

D.羊水染色体検査(羊水穿刺検査):
18~19週に、超音波で子宮の中を観察しながら、腹壁から針を刺し羊水を20ml程度採取します。
羊水中に浮かんでいる「胎児から剥がれた」細胞を集めて、 培養して増やして、胎児の染色体検査をします。
ほぼ100%の確率で正確に結果が出ます。(確定検査)です。

 図はラボコープ小冊子より

費用13万円、当院で行います。日帰りで検査できます。
確定検査はこれのみです。

★下記のような例外的に結果がうまく出ないことが極々稀にあります。
〇穿刺したが羊水が十分採取できない。
〇羊水を培養したが,胎児の細胞が十分増えず検査ができない。
〇胎児の体の中に正常細胞と染色体異常細胞が混在(モザイク)していて正常細胞だけが又は異常細胞だけが検出される。
★合併症の危険:羊水穿刺で流産、破水等する確率は1人/300人程度あるか可能性があります。
(羊水穿刺しなくても、自然の状態でも流産、破水等は1/300人の確率で起こりますが)


羊水染色体検査は、費用が掛かるし、多少危険を伴うので、必要性が特に高い方だけ行います。

                                                                 ガイドライン産科編‛14、  クアトロ検査小冊子   ラボコープ小冊子
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03】妊娠中期: ₁₆₎胎児の体重増加曲線(胎児の発育曲線)

胎児の発育曲線(胎児の体重増加曲線)
胎児の推定体重
胎児の推定体重は下記の3点を計測して計算します。
頭の直径(側頭部から側頭部の直径)
大腿骨の長さ
腹囲(腹囲の代わりに、腹部の前後径と横径を測って腹部の大きさを計測することもあります)


胎児の向きの関係でどれか1つでも計測できなければ、その日の健診では推定体重が計算できません。
しかし、数分待ったり、日を変えて別の日に計測すれば、胎児の向きは変わるので、計測でることが多いです。

 

飯能市の母子手帳ではp61に胎児の発育曲線(胎児の体重増加曲線)のグラフがあります。病院で超音波で計算された胎児の推定体重を記入します。

胎児の推定体重
①正常範囲か、大き過ぎか、小さ過ぎか、又
②胎児の体重が、胎児発育曲線のCurveに沿って増えているか、増加が悪くないか、増加が止まっていないか、

をCheckします。

 

 

<胎児が小さ過ぎ、胎児発育不全、胎児発育停止>

たとえ胎児の体重が小さくて正常範囲から外れていても、発育曲線のCurveに沿って増加していれば大丈夫なことが多いです。
たとえ胎児の体重が小さくて低体重児であっても、正期産(37週以降)まで達すると、体は成熟して来るので、普通分娩して問題なく育つ事が多いです。

 

要注意の状態:
①胎児の体重が増加しているといっても、増加が悪くて、正常の発育曲線から次第に外れる、

②胎児の体重が増えていない、体重増加が止まっている、

 

①~②は胎児の状態が悪いので、妊婦様には頻回に通院していただいて胎児の状態を細かく観察したり、場合によって入院していただいて胎児管理することもあります。

胎児の状態が本当に悪い場合は、胎児が子宮内にいること自体が危ないので、妊娠28~30週以上になっていれば早く娩出して未熟児センターの保育器で育てることになります。

 

 

<胎児が大き過ぎ>

胎児の推定体重発育曲線からはみ出す位にあまりに大きい場合は、分娩予定日前につまり分娩予定日過ぎないうちに、早めに生まれて欲しいです。分娩予定日前に自然に生まれなければ、分娩予定日を過ぎないうちに陣痛誘発して生ませたりします。

母の体重が増え過ぎると、大きな児ができる事が多くなります。
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