不妊の原因:
女性に原因がある方が、男性に原因がある場合より治療し易いです。
男性に原因がある場合も多いので、精液検査は必要です。
女性不妊の原因:
❶【排卵障害】
➜排卵が有無、いつごろ排卵しそうか、卵巣の働きの良否、を基礎体温表や血液検査(ホルモン検査)等で調べます。
➜排卵が悪い場合は、排卵誘発剤(内服や注射)を使います。
❷【卵管障害】
★女性不妊の原因の中で最多で、30~40%です。
★卵管通過障害(卵管が詰まっている、卵管の通りが悪い)、
★卵管の周囲に癒着、等
<精子は、卵管を通って卵管膨大部まで行きます。卵管膨大部で、卵巣から排卵され卵管に吸い込まれた卵に授精します>
<受精卵は、細胞分裂しながら卵管内を移動し、子宮内に入り着床します。卵管が閉塞していると精子や受精卵が通れません>
➜子宮卵管造影検査(子宮のレントゲン検査)で、「卵管の通過性」や「卵管や子宮周囲の癒着の有無」を調べます。
➜子宮卵管造影検査すると、卵管の通過性が良くなり、検査後6か月以内に妊娠する方が多いです。
❸【子宮の異常】
子宮の奇形、子宮筋腫の為子宮内の変形している、子宮内の癒着等が有る為に、子宮内の形が悪いと、「妊娠しにくかったり、妊娠しても流産し易い」事があります。全員ではありませんが。
<子宮奇形>
<子宮筋腫>
漿膜下筋腫(筋腫核が子宮の外側にあります)、
筋層内筋腫(筋腫核が子宮の筋層=壁内にあります)、
粘膜下筋腫(筋腫核が子宮の内側にあります)
➜経膣超音波検査や子宮卵管造影検査で調べます。
❹【頸管粘液が少ない】:
排卵日の2~3日前から、子宮口(子宮頸管と言います)から透明な鼻水の様なさらさらした頸管粘液が出てきます。特に排卵直前になると沢山出てきます。排卵が終わるとすぐに頸管粘液は出なくなります。性交し射精された精子は頸管粘液の中にもぐりこみ子宮内へ上がって行きます。頸管粘液が少ないと妊娠しにくなります。
➜内診で調べます。
➜頸管粘液の量が少ない方。
①頸管粘液量を増やすためにHMG注射を月経後から数日することがあります。
②排卵誘発剤のClomidを服用している方はClomidの副作用為に頸管粘液の量が少ないことがあるのでClomid服用を中止してみることがあります。又はHMG注射を月経後から数日Clomidに併用することがあります。
❺【性交後精子上昇試験(Huhner Test,フーナーテスト)が不良】=精子が頸管粘液中に上がって来ない。
排卵直前になると頸管粘液が増えますが、頸管粘液が増えたとき、「排卵近いので性交して下さい」と医師が指示をします。性交して翌日来院していただき頸管粘液を顕微鏡で見ると、頸管粘液の中に精子がたくさん上昇しているのが見えます。たくさん上昇していると正常です。性交してきたのに精子が上昇してないと性交後精子上昇試験は異常(不良)ということになります。
「性交後精子上昇試験」不良の場合は、
①精子がいなく(無精子症か?)て上がって来ないのか、
②精子がいるのに頸管粘液の中に入りこめなく、上がって来られないのか、2つ考えられます。
「性交後精子上昇試験」不良の場合は、後日、
①精子がいるのか、いないのか(無精子症か?)、精液検査をします。
②精子がいるのに頸管粘液に入って来ない場合は、精子が子宮内に入れないので、精子を容器に採っていただき、直接子宮内に注入する人工授精をします。
➜性交後精子上昇試験は、たまたま調子が悪い時ということも度々あります。性交後精子上昇試験が悪い場合は繰返し数回調べます。何度調べても悪いなら本当に悪いと考えます。
➜内診で調べます。
❻【子宮内膜が薄い、厚くならない】
排卵日になると子宮内膜が厚くなります。厚くなると受精卵の着床が良くなります。薄いと排卵は起こっても着床が難しく妊娠しにくいです。
➜超音波検査で調べます。
➜子宮内膜が厚くならない方。
①排卵誘発剤のClomidを服用している方はClomidの副作用為に子宮内膜が厚くならないことがあるのでClomid服用を中止してみることもあります。
②子宮内膜が厚くする為にHMG注射を月経後から排卵前まで数日することがあります。
男性不妊の原因:
精液検査をします。
・精子の数はいるが、元気良く動いている運動精子が少ない、運動精子の割合が少ない(精子無力症)
・奇形精子が多い、(奇形精子症)
・精液中に白血球が多い、睾丸炎や精嚢炎がある、(膿精子症) 等
の異常がみられることがあります。
❶【造精機能障害】
精子がうまく作られない。
男性不妊の原因の約90%が造精機能障害です。
造精機能障害の68%は原因不明です。
造精機能障害の一部はサラゾピリンやステロイド内服で起きます。
➜精液検査、血液検査(ホルモン検査)、超音波検査、陰嚢や睾丸の触診、染色体検査等で調べます。
精液検査はたまたま調子が悪い時も結構あります。精液検査の結果が悪い場合は繰り返し2~3回調べます。何回調べても悪ければ本当に悪いと考えます。
➜内服薬(補中益気湯や八味地黄丸等の漢方薬、又はカルナクリン)を1∼3か月服用して、精子の状態が良くなることもあります。
❷【精路通過障害】
精子が通る通路が狭い又は塞がっている。
➜精液検査等で調べます。
❸【性機能障害】
勃起障害、射精障害等。最近増加傾向にあります。
➜勃起障害ではバイアグラ、シアリス、リビトラ等を性交する直前に1回服用します。服用すると24~48時間勃起力があります。病院で処方します。
【今日の不妊治療】鈴木秋悦’13 フェリング小冊子(指導,慶応大学客員教授,田邊)、 メルクセローノ小冊子(日本IVF学会監修) 【不妊,不育症診療,パーフェクトガイド】16.4
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………..