A)早産の前兆:
1.下腹部が,生理痛の様に重い、張る
子宮が収縮して胎児を子宮から押し出そうとしている時、下腹部が生理痛の様に重く張る感じがします。
妊娠後半になると、お腹が張りやすくなります。特に問題ない張りも多いですが、早産の前兆として張る場合あるので、お腹が張る場合は、気を付けて控えめに動いたり、安静加減にします。
子宮の収縮が続くと、子宮口(子宮の出口)が開いて来たり胎児が下降する危険があります。
2.茶色のおりもの(少量の出血)
出血がある時は少量でも危ないことが多いので注意して下さい。
<下腹部が重いとか張る感じや、茶色のおりもの、 がある場合>、
1⃣まず、2~3~4日間、控えめに動いたり安静加減にして下さい。それだけで軽快ことも多いです。
2⃣それでも前兆が続くなら、診察、服薬して、自宅安静をします。
3⃣それでも症状が続くなら、入院して、点滴し、安静にします。
★但し、茶色のおりもの(少量の出血)は少量でも危ない事が多いので、すぐ受診して下さい。
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<病院の診察>
正常の子宮
早産しそうか、子宮口や児頭をCheck。
❷.胎児が下降していないか診察します。
❸.頸管(子宮口)が軟化していないか診察します。
❹.経膣超音波で、内子宮口(内側から)が開いていないか、頸管長(子宮の出口の長さ)の短縮がないか診察します。
★★子宮口や児頭が、この様になっているとすぐに早産しそうです。
⑤.分娩監視装置で子宮収縮が陣痛様に起こっていないか診察します。
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B)早産の症状(早産が差し迫った症状)
1.下腹部痛、強いお腹の張り
子宮が陣痛の様に収縮して胎児を押し出そうとしている時、強いお腹の張り、下腹部痛が起こります。
下腹痛が増強するとそのまま陣痛となり、早産に至ります。
2.出血(中等量~多量)
⛈出血がある時は少量でも危ないことが多いので注意して下さい。特に鮮血、量が多めの時は危険です。
<明らかな「下腹部痛や出血」がある場合は、すぐに入院>
早産止め(子宮収縮抑制)の持続点滴(24時間連続)で行ないます。
<下腹部痛や出血が無くても、下記①~④の場合は、入院が必要です>
①.内診して子宮口が開いている、
②.胎児が下降してる。
③.経膣超音波で診察して、頸管長(子宮の出口の長さ)が短縮している。特に20㎜以下に。
④.分娩監視装置で子宮収縮が陣痛様に起こっている。
?⛈<早産しかかった場合、早めに来院していただくと早産止めの点滴(陣痛抑制薬)で止められますが、進行が進んでいると、特に生まれる直前(早産直前)に来院されたのでは止めらず、そのまま早産してしまいます。そして生まれた未熟児は、夜中でも直ちに未熟児センター(遠方の未熟児センターになることもあります)に緊急搬送しなければなりません>
・・・早めに来院して下さい。
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☂早産の原因:
1.頸管(子宮の出口)や子宮内の炎症:
☂膣から細菌が、頸管や子宮内に入り炎症を起こすことがあります。
☂頸管(子宮の出口)に炎症を起こると、頸管(子宮の出口)が軟化し開いてきます。又
☂子宮内に炎症が波及すると子宮収縮が起こりお腹が張りやすくなります。更に
☂卵膜まで炎症が及ぶと卵膜が傷み破水(卵膜が破れて羊水が流出する事)し易くなります。
2.頸管無力症
☂母体の体質的に、子宮の出口の締める力が弱い場合があります。その為
☂特に症状が無く、子宮の出口が緩んで開いてくる方がいます。
【正常の方】
【症状なく子宮口が開いている方を頸管無力症と言います】
【外子宮口は閉まっていても内子宮口が開いていると頸管長が短縮していますが、近々子宮口が開いてきそうです】
3.多胎(双胎、三つ子)、
4.羊水過多症(羊水量が多過ぎる)、
5.子宮筋腫合併妊娠
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☂早産になりやすい方:
早産の前兆や症状に気を付けてください。特に①~④の方。
❶早産したことがある方。今回も50%の確率で早産する可能性があります。
❷子宮頸管長(子宮の出口=頸管の長さ)が短い方。30㎜以下の方(特に25㎜以下の方)。
❸子宮口が開いてきている方。
❹細菌性膣症(膣の中で細菌が異常増殖している)の方。
⑤喫煙、
⑥母体体重増加不良の方。
⑦極端な痩せ
⑧15歳以下、35才以上
⑨長時間労働
⑩円錐切除した方。(子宮癌の前癌状態の為に子宮の出口を円錐形に切除した)
⑪多胎(双胎、三つ子)、
⑫羊水過多、
⑬子宮筋腫がある方、
⑭子宮奇形(子宮の形が悪い)の方。
産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、 産婦人科研修の必修知識’13、 ガイドライン産科編’14、 Fetal&NeonatalMedicine’14
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