乳幼児突然死症候群(SIDS)
0歳児の死因:
1位:先天異常(奇形,染色体異常)、35%
2位:分娩前後の児の呼吸障害、 14%
3位:乳幼児突然死症候群、 6%
4位:事故死
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、0歳児の死因の上位です。
・・・・・・・・・・・・・・厚労省
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、
それまで元気であった赤ちゃんが睡眠中に何の前触れもなく亡くなってしまう病気です。原因はわかっていませんが、下記の点①~③を心がけることで、発生を減らせることがわかっています。
①赤ちゃんを寝かせる時は、あおむけ寝にしましょう。
医学上の理由で医師がうつ伏せ寝を勧める場合もあるので、その時は医師の指導を守りましょう。
②妊娠中禁煙、産後赤ちゃんの周囲でタバコを吸ってはいけません。?
③できるだけ母乳で育てましょう。
・・・・・・・・・・・・・・飯能市の母子手帳’16、p73
もう少し詳しく説明します。
✿乳幼児突然死症候群(SIDS)は、生後2~4か月に集中しています。6か月以内がほとんどです。
✿稀(1人/1万人以下)ですが出生直後、12時間以内等に起こることもあります。母親も児の急変に気付かないことも多いです。2/3は気付かない。
✿稀に1歳以上でも起こることがあります。
✿発生率は6000∼7000人に一人です。
✿他の死因での乳幼児死亡が医学の進歩により次第に少なくなってきたので、SIDSが乳幼児死因の上位になってきています。
✿治療はできません。
✿遺伝病ではありません。
✿突然の異状死なので、警察への届けや解剖が必要なこともあります。
✿SIDSと関係があるもの:①うつ伏せ寝、②直接、間接喫煙(妊娠中)、児の周囲での喫煙、③ミルク、④早産児,低体重児、⑤冬季、早朝~午前中、⑥男児、⑦暖め過ぎ、⑧軽微な感染
②妊娠中タバコを吸わないことはもちろんですが、産後も赤ちゃんの周りでタバコを吸わないようにします。
③母乳栄養の方がSIDS発生が少ないとされています。ミルクがSIDSを引き起こすわけではありませんができるだけ母乳で育てましょう。
④赤ちゃんをなるべく一人にしない。目が届くところに寝かせる。
赤ちゃんが眠っている時に呼吸が止まっているように見える場合(本当に呼吸が止まっていると数分以内に顔色は急にミルミル悪くなります)軽くたたいたりして刺激してみます。思い出したように呼吸を再開することがあります。
「本当に呼吸が止まって、顔色が数分以内に、ミルミル悪くなる」ということがあるとSIDSのNearmiss(SIDSに近い)という状態かもしれません。
SIDSの原因
✿SIDSの原因は、いろいろ研究されていますが、はっきりわかっていません。
✿生後6か月までは、睡眠時に度々無呼吸が起こります。正常児では無呼吸の時に覚醒反応が起こり容易に呼吸が再開されますが、「突然死をする赤ちゃんでは、その覚醒反応の遅延(脳内の呼吸をさせる中枢の反応が遅い,呼吸中枢の未熟性)がある」という説が有力です。
✿覚醒飯能の遅延の原因としては、呼吸中枢の未熟性、呼吸中枢の軽微な感染、呼吸中枢の軽微な障害(劣悪な子宮内環境の為の障害)が考えられています。
✿SIDSの原因の中には(アミノ酸、有機酸、脂肪酸)の代謝異常という先天代謝異常も含まれているようです。
【新生児プライマリーケア】日本産婦人科医会、研修ノート’13 【子供の病気とその診かた】’15、
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近年、「乳幼児突然死症候群」又は「乳幼児突然死症候群の疑い」の診断名を付ける場合、「亡くなった児を死因の精査の為に解剖していない場合は、その診断名を付けてはいけない」ということになったので、症状や経過から乳幼児突然死らしいと思われても、亡くなった児の精査の為の解剖が多くはなされていないので、この診断名を簡単にはつけられなくなっています。その為統計上では乳幼児突然死が、数字の上では少なくなっています。実際に病気が減ってきているわけではありません。
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