37)避妊②IUD(子宮内避妊器具)、費用

IUD:IUDとは子宮内に挿入する避妊器具のことです。ノバTとミレーナの2種類があります。

✿ノバ T:(ノバ ティー)(形はT字型をしています。その軸には銅線が巻かれています。避妊効果はPillと同等です。Pillと違って飲み忘れ使い忘れが無いので実際には避妊効果はPill以上です): 子宮内に挿入します。

避妊の失敗率ノバ Tを挿入していたのに避妊に失敗する方は3人/1000人、
脱出率         : ノバ Tが脱出してしまう方は1人/100人

挿入の所要時間       2~3分、特に麻酔も不要ですぐ挿入できます。
抜去する場合の所要時間 通常30秒程度です。極々稀に抜きにくく時間が掛かる事があります。

挿入時の費用 35000円です。
抜去時の費用10000円

挿入後の点検1年に1回点検します。IUDが子宮の一番奥の正しい位置に入っているかどうか点検します。
その時に子宮癌検査、超音波を使って子宮や卵巣の診察も同時にすることが多いです。

IUDの交換  5年毎に交換します。
ノバ T:銅線を巻いてあるので、以前の旧型IUDより避妊効果が高く、以前のIUDより小型になっています。小型になっているので、以前の旧型IUDより不正出血、下腹部痛が非常に少なくなっています。


IUDは、Pillの様に毎日服用する煩わしさは無く、Pillの様に飲み忘れ使い忘れがありません。内服薬と違い全身に対する副作用がありません。
又、費用も月割りにするとPillよりはるかに割安になります。
IUDを挿入できる方は経産婦の方です。未産婦の方は通常は挿入しません。
IUD挿入中の方で再び妊娠希望される場合は、IUDを抜去するとすぐ妊娠できます。IUDはいつでも簡単に抜去できます。
IUDは避妊効果は高いのですが、性感染症に対しては無防備になります。性感染症の予防の為には、できるだけコンドームの使用をお勧めします。

 

✿ミレーナ:形はノバ Tとほぼ同じです。IUDの軸には銅線は巻いていませんが、その軸に女性ホルモンの入った極小の細長いタンクが付いています。そのタンクから女性ホルモンが5年間にわたって極微量に徐々に放出されます。IUDの器具自体から女性ホルモンがごく微量に徐々に放出されるため避妊効果は非常に高くノバT以上Pill以上です。
ノバTと同様に子宮内に挿入します。
     
避妊の失敗率  ノバ Tより非常に少ないです。
脱出率     : ノバ Tとほぼ同等です。
挿入時の費用 50000円です。
抜去時の費用 10000円

✿ミレーナの副効果:ミレーナを挿入すると月経の量が少なめになります、又、生理痛がひどい方は生理痛が良くなります。その為、月経の量が多い(過多月経)の方や生理痛がひどい方にはミレーナは適しています。
過多月経や生理痛の治療の目的でミレーナを挿入することがあります。過多月経や生理痛の治療の目的で挿入する場合は健康保険がきくので、8000~10000円と費用が少なく挿入できます。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

  

  

39)オリモノが多い:①カンジダ膣炎、②細菌性膣炎、性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、⑥萎縮性膣炎

オリモノが多い:
オリモノが多い時は、①カンジダ膣炎、②細菌性膣炎、性感染症(③トリコモナス膣炎,④クラミジア,⑤淋菌)、⑥萎縮性膣炎、等を考えます。
①カンジダ膣炎
*オリモノが多くて困る時は、カンジダ膣炎の事が多いです。
*カンジダは
カビの一種です。体調が悪い時に(体力低下時に)自然に生えてきます。抗生物質長期使用後(最多)、疲れ、ストレス、不眠、風邪、糖尿病中、妊娠中(女性ホルモンの影響で)起きやすいです。
*いわゆる性病とは違いますが、女性から男性に感染することがあります。男性から女性への感染は少ないです。健康な方には感染しにくいです。健康な方はたとえ感染してもすぐに治ります。

❈カンジダ膣炎の症状は酒粕、ヨーグルトやチーズ様のオリモノが塊になって出てきます。膣壁が荒て出血しやすくなります。カンジダ外陰炎が同時に起こっていることが多いです。
❈カンジダ外陰炎の症状は外陰部のかゆみや痛痒さ、外陰部のただれや発赤です。

❀カンジダ膣炎の検査は、オリモノを採取して顕微鏡で診ます。カンジダが見えます。カンジダには種類があります。Candida albicansというカンジダの種類がほとんどですが、一部にCandida glabrataというカンジダの種類があります。Candida glabrataは顕微鏡では見えにくいカンジダの種類です。Candida glabrataは治りにくいことがあり長めに治療する事があります。オリモノの顕微鏡検査をしてカンジダが見えなくても、カンジダの症状がある場合はカンジダの治療をします。

❀カンジダ膣炎の治療は、膣内にカンジダを殺す膣座薬を挿入します。
週1回挿入(1回だけ)する座薬と1日1回1錠6日間挿入する座薬と2種類あります。週1回挿入(1回だけ)で済む座薬の方が便利です。座薬は膣内で徐々に溶けて崩れて無くなります。座薬が徐々に崩れて粉っぽいオリモノが出ることがあります。週1回挿入、1回でほとんどの方は治ります。治らない方は1週間後にもう1度挿入します。稀に座薬が脱出する方がいます。
1日1回6日間膣座薬を自宅で自己挿入していただく場合もあります。しかし、毎日6日間通院して膣洗浄して座薬を入れる方がやや治療効果が優れています。
❀カンジダ外陰炎の治療は、カンジダを殺す軟膏を1日2~3回、5~7日続けて塗ります。外陰部の痒みや発赤やただれがひどい方は、痒み止めや消炎作用の軟膏を適宜併用します。
❀膣炎と外陰炎を同時に治療しないと治りにくいです。
❀カンジダ膣炎、外陰炎共に、症状がなくなったら治癒とします。カンジダはカビなので何処にでも常在していて完全には消失しません。症状がなくなった時点で治癒とします。

②細菌性膣炎
*オリモノが多くて困る時は、カンジダ膣炎の次に細菌性膣炎が多いです。
*オリモノが多く、又臭いが強く気になります。膣炎をおこすので性交時出血しやすくなります。
*膣の中で、雑菌が異常増殖して起こります。
*オリモノを採って顕微鏡で診ると雑菌の増殖が見られます。治療は、膣の中に雑菌を殺す抗生物質の膣座薬(クロマイ膣錠)を数日挿入します。治りが悪い時はフラジール膣錠に代えて数日挿入します。数日挿入するとすぐに治ります。
                                  
産婦人科外来での鑑別診断の手順と薬物療法’15、  ガイドライン婦人科編’11、’14