73】全ての事柄が天秤ばかりです。医療行為も同様です。

全ての事柄が「天秤ばかり」です。医療行為も同様です。

両方共大切ですが、現時点ではどちらが大切か

Aの人にしようか、Bの人にしようか

 

 

バンジージャンプ
危険性 : スリル、爽快感、満足感

車に乗る事
車に乗る危険性 : 車に乗る必要性
車を買う為の出費の痛み : 車を買う必要性

自転車に乗る事
乗る危険性 : 乗る必要性(メリット)

包丁で調理する事 
指を切る危険性 : 包丁を使う必要性

道を歩く
危険性(転ぶ、車が突っ込んでくる、物が落ちて来る) :  歩く必要性

 

帝王切開 
手術や麻酔による危険性(出費) : 必要性、帝王切開をしないことで起こる危険。
★危険性は0に近いですが0ではありません。 しかし必要性が高ければしなければなりません。帝王切開をしないことによって起こる危険もあります。
★帝王切開をしないで済むならしたくないですが、必要性が高ければせざるを得ません。

麻酔
副作用、合併症の危険性 : 必要性(メリット)

注射
副作用、合併症の危険性 : 必要性(メリット)、注射をしないことの危険性

服薬 
副作用の危険性 : 必要性(メリット)、服用しないことの危険性

 

   

医療行為は100%安全とは言えません。どんなに努力しても必ず極少しは危険性が残ってしまいます。

 

美容整形
合併症の危険性(出費) : 必要性(メリット)

無痛分娩
合併症の危険性(出費) : 必要性(無痛分娩で得る特大メリット)

妊娠や出産
危険性
妊娠や出産には「妊娠中の胎盤早期剥離、突然の産後の大出血、血栓症、予測不能の羊水塞栓症」による母体死亡の危険があります。最大限手を尽くしても1人/3万人の割合で母体死亡は起こってしまいます。この割合は世界的に見ても最低に近いですが。
母体死亡数は、年間、昭和25年4117人、昭和35年2097人、昭和45年1008人、昭和55年323人、平成7年85人、平成17年62人、平成23年45人と医療関係者や行政の努力で徐々に減少していますが、0にはできません。昔は「片足を棺桶に突っ込んで出産する」とまで言われていました。
現在年間100万人以上生まれていますので母体死亡の確率は1人/3~4万人です。
交通事故死の確率が1人/1万人、子宮癌の確率が1人/3000人ですから、それに比べると高くはありません。
必要性
妊娠や出産すること自体にわずかですが危険性が伴いますが、妊娠出産する必要性が高いので出産します。

 

❤全ての事柄が、「天秤ばかり」ですが、医療行為も同様です。
❤全ての事柄がそうですが、すべての医療行為も絶対とか完璧ということはありません。「天秤ばかり」で判断して、Betterな方を行います。

❤危険性と必要性の差が大きければ判断がつきやすいのですが、その差が無く釣り合っている場合や、その差がわずかな場合は、どちらを選択するか決心がつかず迷い悩みます。

❤?その差がわずかな場合で、選択した結果が悪い時は、その選択を後悔する事が多いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・Dr.Sekiguchi

 

医療とは、患者様の大きな負担や患者様の生命にかかわるような大きなリスクを除く為に、最小限と考えられるリスクを加えることを許された業務です。(医療行為自体に最小限のリスクがあります)。

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41】カンジダ膣炎、カンジダ外陰炎

カンジダ膣炎、カンジダ外陰炎

カンジダ(Candida)はカビの1種です。膣や外陰部に生えて症状が出ることが有ります。

75%の女性は、生涯少なくつも1回は発症します。男性でも亀頭や包皮にカンジダが生えることがありますが、女性に比べて少ないです。

15%の女性は普段から膣内にカビがいます。いても特に症状はなく、そのままで構いませんが、その内の1/3位の方に症状が出ることがあります。

 

症状
膣炎: オリモノ(酒粕様とかヨーグルト様)が増えます。ひどくなると膣壁が荒れて出血し易くなります。

外陰炎: 外陰部の痒み→(悪化すると)→痛痒い→(悪化すると)→外陰部が広範囲に赤くなり,ただれます。

➜❶と❷が同時のこともあるし、片方だけのこともあります。

 

誘因(カンジダが生えやすい状況)
・抗菌剤服用後が最も多い。
・その他、妊娠中、糖尿病中、体力消耗して体力低下中(風邪、過労、睡眠不足、体調不良等)、女性ホルモン服用中。
・通気性の悪い下着(蒸れて湿気が多くなる)、
・自己洗浄し過ぎ、
・原因不明の事も多いです。

オリモノが多い、外陰部の痒み、がある場合は殆どの場合、カンジダ膣炎、カンジダ外陰炎です。
しかし、トリコモナス(原虫という顕微鏡で見ないと見えない小さい虫、主に性交で感染します)による膣炎のこともあるので、オリモノを採って顕微鏡検査をする必要があります。

カンジダ(Candida)には、数種類ありますが、問題になるのは次の2種類です。
Candida Albicans(アルビカンス):カンジダというと殆どがこれです。オリモノを顕微鏡で見ると見えます。
Candida Glabrata(グラブラータ):これは少ないですが、顕微鏡で見えにくいです(時に見えない)。しかし薬に対して強いカビなので、薬を多めに使わないと死ににくいです。

オリモノを顕微鏡で見て「カンジダが見えない」からと言っても「カンジダはいない」とは言い切れません。顕微鏡で見えにくいGlabrata(グラブラータ)がいることもあるので。
➜さらに確認したいときは、オリモノを細菌培養検査します。
➜顕微鏡でカンジダが見えなくても、カンジダの症状がある時はカンジダの治療をします。カンジダの治療をして良くなれば「カンジダがいた」ということがわかります。

カンジダは、腸内に普段からいます。
直腸→肛門→会陰→膣 の経路で膣に侵入する事が多いです。

カンジダは、いわゆる性病とは違いますが、女性から男性へ感染することがあります。男性から女性への感染は少ないです。健康な方には感染しにくいです。体力が低下している方には感染し易いです。

治療  カンジダ膣炎とカンジダ外陰炎を同時に治療する事が基本です。
★膣に
「1週間効いている膣錠」を1回だけ挿入、又は
1日1回1錠、6日間挿入

の場合、「1週間効いている膣錠」を、1回入れただけで、ほとんどの方は治りますが、治らない場合は1週間後にもう一度入れます。
の場合、「1週間効いている膣錠」は、1週間膣の中に留まって徐々に溶けてなくなります。膣錠が崩れて白い粉の様なオリモノが出ることもあります。
の場合、稀に「1週間効いている膣錠」が脱出(脱落)することが有ります。その場合、
➀できるだけ奥に入れる。
②剤形が大きい膣錠(アデスタン膣錠)に変える。それでもダメなら、
③1日1回1錠、毎日6日間挿入する方法に変えます。

の毎日6日間入れる方が、やや効果は高いです。
毎日自宅で自己挿入するより、毎日通院して膣洗浄して膣錠を入れる方がやや効果は高いです。

★外陰部に
a)カンジダを殺すクリームを1日2∼3回、症状が良くなるまで、連続で1週間近く塗ります。
b)「痒み止め+消炎」のクリームを1日2~3回、症状がある時、適宜塗ります。

 

90%の方は、初回治療で治ります。
治らない時
➀膣錠やクリームには何種類かあるので、薬を変えてみます。
②膣錠やクリームの使用期間を長くしてみます。又量を増やしてみます。
③難治性であったり、年4回以上再発を繰り返す場合は、
・Candida Glabrata(グラブラータ)のことがあるので、薬を多めに使うことがあります。
・直腸内にいるカンジダが肛門を通って膣に侵入する事が多い(それが主な原因)ので、腸内のカンジダを殺すために内服薬(ハリゾン錠)「1回3錠」を1回だけ、内服していただきます。服用顔1週間以内に殆どの方が良くなります。

 

ガイドライン婦人科外来編’17、  産婦人科研修の必修知識2016~2018

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